2026年1月、改正行政書士法が施行されました。この改正をめぐって、「自動車販売店はもう車庫証明の書類を扱えなくなるのか」という話が出ることがあります。しかし、実際には「車庫証明が行政書士への依頼必須になった」わけではありません。
一方で、改正を受け、これまで販売店内で行ってきた作業をどのように整理すべきか検討している事業者もあると考えられます。この記事では、改正の内容を正確に理解した上で、販売店と行政書士の役割についての考え方を整理します。
2026年の行政書士法改正で何が変わった?
今回の改正(令和7年法律第65号、2025年6月成立・2026年1月1日施行)では、行政書士でない者が業として官公署提出書類を作成することへの制限が、より明確に整理されました。
行政書士法第19条は以前から「行政書士でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことができない」と定めていましたが、改正によって適用範囲や罰則の整理が行われています。
車庫証明(自動車保管場所証明)の申請書類は、警察署(公安委員会)に提出する書類です。これを「業として」有償で作成することは、行政書士法の対象となります。
車庫証明が行政書士への依頼必須になったわけではありません
まず、この点を明確にしておきます。
自動車を購入する一般の方が、ご自身の車庫証明を自分で申請することは、改正後も引き続き可能です。行政書士法の規制は「業として」行う有償の書類作成に対するものであり、本人申請を禁止するものではありません。
整理が必要なのは、販売店が顧客に代わって行う車庫証明の書類作成が、どのような性質を持つかという点です。一例として次のような場面の違いが考えられますが、実際の作業内容・対価・契約関係等によって判断が異なる可能性があるため、一律に合法・違法を断定することはできません。
- 顧客から事実情報を収集して整理する(例として販売店が行う場面)
- 必要書類のリストを案内する(同)
- 申請書類(保管場所証明申請書・配置図等)を報酬を得る前提で作成する(行政書士法上の検討が必要な場面として挙げられる例)
報酬・手数料・サービス料・車両代金への包含など、名目だけで一律に判断できるものではなく、実態に即した判断が必要です。個別の業務内容については、行政書士会等の見解も参照することをおすすめします。
自動車販売店の車庫証明業務で整理したいこと
今回の改正は、販売店と行政書士の業務分担を見直す一つのきっかけになります。改正を受け、これまで社内で行ってきた作業をどのように整理すべきか検討している事業者もあると考えられます。「法律で義務化された」という文脈でとらえるのではなく、「書類作成業務の整理をするきっかけ」として考える方が、実態に合っています。
販売店として整理しておくと運用がしやすくなるのは、次のような点です。
- 顧客から情報を収集する作業と、書類を作成する作業を分けて考える
- 書類作成を外注する場合に、どの情報を行政書士に渡せばよいかを標準化する
- 顧客への車庫証明取得の案内を、社内で統一する
販売店と行政書士の業務分担の一例
例えば、販売店が顧客・車両・駐車場に関する事実情報を整理し、行政書士がその情報をもとに申請書類を作成する運用が考えられます。ただし、具体的な業務範囲については、実際の作業内容や対価の関係を踏まえて個別に整理する必要があります。
車庫証明を外注する一般的な流れ
行政書士に継続的に依頼する場合の運用例を示します。
- 販売店が依頼票(案件ごとの情報シート)を作成し、行政書士へ送付する
- 行政書士が申請書・所在図・配置図を作成し、顧客へ署名箇所を確認してもらう
- 行政書士が管轄警察署へ申請し、受付後に処理期間の目安を販売店へ連絡する
- 証明書の受取後、行政書士が販売店へ郵送または手渡しする
- 月末に当月分の件数をまとめて請求・精算する
個人情報を含む書類の受け渡しは、メール暗号化・パスワード付きファイル・専用フォームの活用など、情報管理に配慮した方法を取り決めておくことが重要です。
継続依頼、月締め請求に対応できる体制
月に複数件の車庫証明を扱う販売店であれば、一件ごとに個別見積もりを交わすよりも、月末まとめての請求体制の方が経理・管理の負担が少なくなります。
件数が安定している場合は、料金についても相談できる余地があります。まずは取引規模や依頼頻度をお知らせいただければ、対応できる体制についてご案内します。
当事務所では、豊中市(豊中警察署・豊中南警察署・池田警察署の一部)、池田市(池田警察署・豊中警察署の一部)、箕面市(箕面警察署)、吹田市(吹田警察署管轄区域)の車庫証明申請を代行しています。エリア追加料金は保管場所が所在する市を基準とします。販売店様からの継続的な依頼にも対応していますので、まずはご相談ください。詳細は車庫証明申請代行のサービスページをご覧ください。
法改正をあおるのではなく、運用を見直す
今回の行政書士法改正を「販売店は書類に触れてはいけない」という極端な読み方で捉えると、現場の実態とずれてしまいます。一方で、「改正があっても何も変わらない」という判断も、慎重な検討なしには言えません。
実務上は、販売店が行う「情報収集・案内」と、行政書士が行う「申請書類の作成・提出」を分けて整理することが、コンプライアンスに配慮した運用につながると考えています。
「これまで社内でやってきた車庫証明の手配をどう整理するか」を考えるきっかけとして、一度ご相談いただけると、具体的な業務分担についてお話しすることができます。
